2020/06/03改定

三池炭鉱専用鉄道 全体路線図

路線概要

三池炭鉱専用鉄道は、福岡県大牟田市にある三池港を起点として、同市や熊本県荒尾市に点在する三池炭鉱の各坑と工場群を結ぶ貨物専用鉄道として敷設されました。

三池炭鉱専用鉄道の歴史は、 1879(明治11)年2月、大浦坑で採掘された石炭を横須浜(大牟田川河口)まで搬出するため、馬車軌道が敷設されのが起源です。その後、増加する出炭量に対応するために三池炭鉱専用鉄道の設計がなされ、1891(明治24)年、横須浜~七浦間が開通し、蒸気機関車による本格的な石炭の鉄道輸送が始まりました。

三池炭鉱が官営から三井組に払い下げられた1889(明治22)年、三池炭鉱の主力抗は、いずれも大牟田市の中部に位置する七浦坑、大浦坑および宮浦坑の三坑でした。その後、勝立坑、宮原坑、万田坑など新たな坑口が次々と開鉱し、また、石炭の大型船による輸出に対応するため、1908(明治41)年には四山沖に三池港が開港するなど、三池炭鉱の関連施設は大牟田市および荒尾市の広い範囲へと拡大していきました。それに伴い、三池炭鉱専用鉄道の路線も次第に延伸し、最終的には大牟田市の中心部と荒尾市の北部にかけて馬蹄形を描く路線が本線となり、それに加えて3つの支線が敷設されました。

このように、三池炭鉱専用鉄道の路線は、三池炭鉱における時代の変化とともに変遷していきました。上の図は、現在の大牟田市・荒尾市の地図に、かつての三池炭鉱専用鉄道線の主要4線(本線、旭町支線、勝立支線および玉名支線)を描いた全体配線図です。2020(令和2)年5月7日まで三井化学専用線として稼働していた旭町支線を除き、全ての線路が撤去されています。なお、実際には、これらの路線に加えて数多くの引き込み線が存在しました。

また、三池炭鉱専用鉄道では、1909(明治42)年より電化工事が始まり、1937(昭和12)年1月21日に全線電化されています。架線電圧は直流600ボルトであり、その電力は、三池港の近くに建てられた三川電鉄変電所より供給されました。

路線の詳しい変遷については、別ページに年別にまとめましたので、そちらも合わせてご覧ください。

路線データ

  • 軌間:1,067mm(JRと同じ狭軌)
  • 架線電圧:直流600V
  • レール:37kg/m
  • 線路(ほぼ最盛期であった1965(昭和40)年のデータ)
    • 本  線:横須浜~三池港、9.30 km
    • 旭町支線:宮 浦~旭 町、1.90 km
    • 勝立支線:宮 浦~東 谷、3.25 km
    • 玉名支線:原万田~平 井、4.14 km
            (合計キロ程:18.49 km)