このコーナーは、三池炭鉱専用鉄道、三池炭鉱、大牟田・荒尾等に関する一枚の写真を基に、それが撮影された背景や被写体の詳細を考察するものです。

ロンドンバスカフェ

2020/05/20公開

今年(2020年)の1月、福岡県糸島市のサンセットロードで撮影したロンドンバスカフェ。このサイトとは繋がりのないようなこの写真。しかし、このサイトをご覧頂いている方で、このバスにピンと来た方は、10年ほど前に旭町界隈を歩かれたことがあるだろう。

実はこのバス、2010(平成22)年頃に大牟田にあったのだ。当時、旭町1号踏切から「大牟田Jボウル」というボーリング場の方を通って西鉄新栄町駅へ向かう途中、マンションが立ち並ぶ駐車場の一角にあった。私は「揚げパンきな粉ソフトクリーム」というメニューが好きで、よく通ったものだ。

いつの間にか開業して、いつの間にか姿を消したロンドンバスカフェ。そのバスは今、糸島の海岸線沿いにある。別のオーナーさんに代わっているため、大牟田時代のメニューではなくなっているが、車体側面に描かれた「ロンドンバスカフェ」のロゴは当時のままであり、バスのリアウィンドウ側には大牟田時代の電話番号(市外局番0944から始まる番号)が今も書かれたままだ。

糸島は今、福岡市内から気軽に行ける観光スポットとして賑わっている。糸島へ行かれた際には、このロンドンバスで優雅なティータイムを過ごしてみては如何だろうか。

ちなみに、先述の「大牟田Jボウル」というボーリング場は、かつて「三池ファミリーレーン」という名称だった。それを運営したのは「三池商事」という会社で、「三井三池共愛購買組合」を前身とする三井系の企業であった。また、現在旭町1号踏切の脇には日産が建っているが、以前ここには「ゼネラル」のガソリンスタンドがあった。このガソリンスタンドも「三池商事」が展開していたもので、「三池商事・旭町給油所」が正式名称であった。大牟田の街の風景も絶えず変化しているので、今当たり前の光景を写真に収めたいものだ。

国鉄特急色の大牟田駅入換機

2020/05/15公開

この写真は、1996(平成8)年1月28日、DE10 1755がタンク車(タキ5450等)を連結し仮屋川へ向けて待機しているところを、JR大牟田駅3番ホームから撮影したものです。

大牟田駅入換機には、2018(平成30)年2月23日にHD300-27が導入されるまで、長らくDE10が充当されてきました。その塗装は、原色・JR貨物色・紫の入換動車色など様々なバリエーションがありましたが、そのうちの一つに、写真の国鉄特急色がありました。

1987(昭和62)年3月、特急「有明」の2往復が豊肥本線水前寺駅まで乗り入れることとなりましたが、当時の豊肥本線は非電化であったため、写真のDE10 1755が専用機として国鉄特急色に塗り替えられました。1988(昭和63)年3月にはDE10 1756も有明専用機となりましたが、こちらは特急「有明」に783系ハイパーサルーンが投入されたことに伴い、白地に赤いラインが入ったハイパーサルーン色となっています。
1994(平成6)年7月、特急「有明」の水前寺乗り入れは中止されましたが、DE10 1755はその後も国鉄特急色のままで運用され、この写真の撮影日から約1年後の1997(平成9)年3月、原色に戻されました。
その後、DE10 1755は、2013(平成25)年12月に黒色となって出場し、現在に至っています。

三池港駅で12系客車を撮る

2020/05/11公開

この写真は、1995(平成7)年11月28日、三池港駅で撮影したものです。一眼レフどころか自分のカメラさえ持っていなかった当時、家にあったコンパクトカメラ(ミノルタのフィルムカメラで、28mm?と50mmの2段ズームレンズに、当時流行った「パノラマ」機能が付いていた)にネガフィルムを詰めて、家から4キロメートルほど離れた三池港まで自転車で向かいました。この日は平日だったため、学校の授業と部活を終えた後、夕方遅めの時間帯に三池港駅に着いたと記憶しています。

写真は、22号機(45トン級 B-B形電気機関車)がJRの12系客車 2両を連結し、三池港駅構内で停泊している様子です。この列車は、写真の撮影翌日である11月29日に、団体列車「産炭地域活性化の集い in 大牟田号」として旭町~三池港間を1往復しています。この列車に関する詳しい記録が残っていないためそれ以上のことは分かりませんが、三池炭鉱専用鉄道とJR鹿児島本線とが接続しているのは仮屋川操車場しかありませんので、仮屋川から12系を入線させ、旭町1号踏切を通って三池港まで走ったことは間違いありません。

三池炭鉱専用鉄道を走った客車列車としては、1990年8月に運転された「大蛇山シティ未来号」が有名です。これは、子供たち向けのイベント列車として、専用のラッピングを施したJRの14系客車 2両を45トン級 B-B形電気機関車が牽引して、三池浜~三池港間を7往復しました。

これらの列車のように、客車に揺られながら大牟田・荒尾の町の風景を見てみたいものです。三井化学専用線の運行は終了してしまいましたが、まだまだ走れる電気機関車にトロッコを繋げて旭町1号踏切を渡りたい・・・それが私の夢です。