管理人エッセイ – 晴れよし、雨もまたよし

今朝も、いつもと同じように宮浦駅へ出向き、いつもと同じように止まっている12号機と18号機を眺めていると、やけに晴れ渡った空に自然と視線が移った。宮浦駅へ出かけるようになってから、雲一つない快晴というのは何度もあったはずだが、今日の大牟田の空は ”青空高く澄み渡る空” という日本語が一番似合う。宮浦駅からは見えないが、大牟田の街から雲仙普賢岳も綺麗に眺めることができただろう。

そんな青空も今日までらしい。天気予報によると、筑後地方では明日から少しずつ天気は下り坂となり、夜には雨が降りだすという。週間予報には雨マークが並び、中には稲妻のマークまで添えてある日もある。いよいよ本格的な梅雨がやってきそうだ。

私の鉄道趣味としては鉄道写真を撮ることをメインとしているが、思い出に残っている雨の日の撮影がある。
長崎県の島原鉄道にキハ20が現役で走っていた頃、当時私は長崎県大村市に住んでおり、週末はよく島原鉄道の撮影に出かけていた。2007年7月12日、その日も3連のキハ20を撮りに島原へ出かけようと前の晩から準備をしていたが、朝起きると外は雨。天気予報で “晴れではない” と知ってはいたが、ヤル気を損なうほどの雨が降っている。キハ20はまだ走っていることだし、わざわざ雨の中行くことはない、、、と自分に言い聞かせる一方、行くだけ行ってみよう、もしかしたら現地は降ってないかも、、、と説得する自分もいて、結局、2時間後には現地に着いた。

雨は一向に止む気配がなく、むしろ雨脚が強くなってきている。私はレインコートを羽織り、一眼レフとビデオカメラにも防水対策をして、Sカーブの終端に三脚を立てた。雨がレインコートのフードを叩き、ファインダーに水しぶきが飛ぶ。一通り準備ができてから列車を待つ間も、これだけの雨が降っていると待ち時間が長く感じる。正直、「やっぱり今日は辞めといた方がよかったかな」と後悔するほどだった。
すると、遠くで踏切の音が鳴り始め、かすかにジョイント音が聞こえてきた。私はビデオカメラの録画ボタンを押し、一眼レフのファインダーを覗く。濡れたレールが徐々に光り、強い雨のなかをキハ20が轟音を立ててやってきた。Sカーブの中腹に差し掛かりキハ20と私が正対した瞬間には、雨を切り裂く前照灯の光がファインダーいっぱいに黄金色に輝いた。とても神秘的な光景に気を取られているうちに、3連のキハ20はあっという間に私の横を通り過ぎ、またレインコートのフードを叩く雨の音だけの世界に戻る。
一向に止まない雨の中、私はカメラ機材を片付けながら、「今日は辞めといた方がよかったと後悔した」ことを後悔した。なぜなら、これだけの雨だからこそ見れた光景がそこにあったからである。

自宅に帰り、撮った写真や映像を見てみると、写真の出来は満足するものではなかったが、ビデオカメラはあの瞬間の感動をそのまま記録してくれており、何度見ても見飽きない映像となった。
たった51秒間の映像だが、13年経った今でも私はしばしばその映像を眺めている。あの日の朝、雨に負けて出かけていなかったら撮れていない映像を―――。

今朝の宮浦駅で撮った写真は、青い空と緑の木々にマルーン色の18号機が映えて美しいものだった。これから梅雨の季節に入り、三池の機関車たちはどんな表情を見せてくれるのだろう。

晴れよし、雨もまたよし。

管理人エッセイ – 晴れよし、雨もまたよし” に対して2件のコメントがあります。

  1. こじこじ より:

    雨の日…。私も諦めがちになります。鉄道から話は外れますが、雨の中のジャンボ機の離着陸は、最高です。旅客機として国内の航空会社からは退役してますが、あの水しぶきは鮮明に脳裏に焼き付いています。雨のおかげでふだんは見えないエンジンの噴射が見えますね(草とかでも見えるか…)。もちろん、今飛んでる飛行機も迫力満点です。

    1. EZ traveler(管理人) より:

      こじこじ様、
      こんばんは、いつも有難う御座います。
      私も飛行機のなかではジャンボ(B747)が一番好きで、特に「クラシックジャンボ」と呼ばれる在来ジャンボが好きです!
      雨の日の着陸は迫力があっていいですよね。フルフラップ・スポイラ全開の姿だけでもカッコいいのに、逆噴射で飛び散る水しぶきは たまりません。
      最近はエンジンの信頼性が向上したので、双発エンジンの飛行機ばかりになりましたが、DC-10やMD-11といった3発エンジンもカッコ良かったですね!

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