イギリス製蒸気機関車
- シャープ・スチュアート(Sharp Stewart)社製
シャープ・スチュアート社は、英国マンチェスターに所在した蒸気機関車の製造メーカーで、1872(明治5)年に日本で初めて新橋~横浜(現・桜木町)間に鉄道が開通した際、10台輸入された蒸気機関車(いずれも英国製)のうちの4台が同社製でした。
1878(明治11)年製造の同社製機関車は岩手県の釜石鉱山局が購入したもので、1882(明治15)年の釜石鉱山および釜石製鉄所の廃止により、翌1883(明治16)年に官営三池炭鉱に移管されました。当時はまだ三池炭鉱専用鉄道の開通前ですので、坑口での運搬用として使用されていたと考えられます。なお、軌間は838ミリメートル(2フィート9インチ)という特殊なものでした。
その後、三池炭鉱専用鉄道の開通に伴い、1891(明治24)年11月に軌間を1,067ミリメートルに改造され、三池炭鉱専用鉄道の1号機関車となりました。 - ブラック・ホウソン(Black Hawthorn)社製
ブラック・ホウソン社は、1865(慶応元)年に、R.Coulthard社の産業用タンク機関車製造の事業をWilliam Black氏とThomas Hawthorn氏が引き継いで、誕生したメーカーです。
三池炭鉱では、1895(明治28)年および1896(明治29)年にそれぞれ1台ずつ購入しています。 - エイボンサイド(Avonside)社製
三池炭鉱では、エイボンサイド社製蒸気機関車を1897(明治30)年に1台導入したとされていますが、詳しいことは調査中です。 - ダブス(Dübs)社製
ダブス社は、英国グラスゴーに所在した蒸気機関車の製造メーカーで、1900年時点では全英2位の大手メーカーでした。日本への輸出も多くされており、三池炭鉱では1888(明治21)年に1台輸入しています。
アメリカ製蒸気機関車
- ボールドウィン(Baldwin)社製
ボールドウィン社は、1825(文政8)年にフィラデルフィアで創業した鉄道車両メーカーです。同社製の蒸気機関車は日本各地で見られ、特に軽便鉄道や森林鉄道で多く使用されました。同社製蒸気機関車は愛知県にある博物館明治村で現在も動態保存されています。
1891(明治24)年3月、三池炭鉱は同社製蒸気機関車を2台購入し、松風号・村雨号(のちの2・3号機)として使用しました。 - スケネクタディ(Schenectady)社製
スケネクタディ社は、1840年代に起こったアメリカでの鉄道ブームによって、ニューヨーク州のスケネクタディに1848(嘉永元年)に新設され機関車メーカーです。通称「スケネク」と呼ばれています。
三池炭鉱では、1899(明治32)年に1台を購入しました。 - ポーター(Porter)社製
ポーター社は、1866(慶応2)年に創業した産業小型機関車のメーカーで、日本にも数多くの機関車が輸入されました。
三池炭鉱には1902(明治35)年から1908(明治41)年にかけて導入され、輸入された全17台の蒸気機関車のうち、9台がポーター社製でした。